知的財産立国を標榜し、我が国の優れた技術シーズを基に21世紀の我が国の国際競争力の回復に向けた動きが活発化している。とりわけ、公的研究機関や大学における先端的かつ基礎的技術シーズに基づく新産業の創出に向けた産官学連携の成果に期待が寄せられており、グローバル経済および国境を越えた技術移転の進捗の中、これらの技術シーズを知的財産制度のもとで国際的に適切に保護しておくことが必要である。
そして、新産業に結びつけるためには、知的財産権として保護された技術を、現実のビジネス社会の中で活用していかなければならない知的創造サイクルの中でも、知的財産の「創造」、「保護」、「活用」の3つの柱が政策の中心として位置づけられているが、約百万件の現存特許の実施率の低さを見るにつけ、特に、「活用」面でどのような工夫ができるかが問われていく。知的財産は単に権利化すればよいのではなく、それを活用して意味が出てくる。
田中研究室では、知的財産を企業の成長・強化に役立てるために、どのような知的財産活動を推進していくべきかを研究し、さらに、知的財産活動を企業経営にドッキングさせるためのツール開発を行い、我が国産業の国際競争力強化に役立つ研究成果を社会に提供していきたい。
知的財産分野では、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、不正競争防止法、著作権法などの法律知識が前提として存在している。企業活動の中で知的財産マネジメントを考えていくうえで、これらの法律知識は、まず身に着けなければならない最低限の専門領域である。しかしながら、法律知識だけで知的財産マネジメントができるわけではなく、田中研究室では、戦略策定、技術予測、人材開発などの経営領域についても知見を蓄積し、法律と経営の橋渡しを狙っており、企業経営に役立つ知的財産マネジメントの確立を目指している。
フレッシュで優秀な学生さん方とビジネスの現場に出向き、自由でオープンな研究活動を進めているところである。